「農地の相続はどうすればいいのだろう?」「そもそも農地に相続税はかかるのか?」など、初めての相続で不安を抱えている方も少なくないでしょう。特に市街化区域の農地を相続する際は、様々な問題に直面することが多いです。
こちらでは、市街化区域農地の相続時の問題点、農地における相続税の取り扱い、農地を相続しない場合の選択肢について詳しく解説します。
市街化区域農地の特徴と相続時の問題点
市街化区域農地は、都市計画法により宅地化が進められる区域に位置しており、その特徴と相続時の問題点について理解することが重要です。
市街化区域農地の種類
市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域、または今後10年以内に優先的かつ計画的に市街化を進めることを目的とした地域のことです。この区域内に存在する農地のことを市街化区域農地と呼びます。
市街化区域農地は、大きく3つに分類されます。
◆一般市街化区域農地
市街化区域内にある農地のうち、特定市街化区域農地に該当しないものを指します。市街化区域内にあるため、将来的に宅地化される可能性が高い農地です。そのため、相続時の評価においては宅地並みの基準が適用されます。市街化区域農地の相続では、この点に注意が必要です。
◆特定市街化区域農地
三大都市圏内の特定の市にある市街化区域農地を指します。一般市街化区域農地よりもさらに宅地化の可能性が高いとされ、相続税の評価や課税においても宅地並みの扱いを受けます。市街化区域農地の相続では、この種類の農地が最も高額な評価を受ける可能性があります。
◆生産緑地
生産緑地とは、市街化区域農地の中で、生産緑地地区に指定された農地を指します。生産緑地に指定されると固定資産税などの優遇措置を受けられる一方で、宅地への転用や売却が制限されます。
市街化区域農地の主な特徴は以下のとおりです。
宅地への転用が比較的容易
周辺の宅地化が進んでいる
将来的な宅地化が期待される
固定資産税の課税が宅地並みの評価
これらの特徴により市街化区域農地は高額な評価を受けることが多く、相続時に様々な問題が生じる可能性があります。
市街化区域農地の相続時の主な問題点
市街化区域農地における相続時の主な問題点としては、以下が挙げられます。
◆高額な相続税評価
市街化区域農地は、宅地に準じた評価方法(宅地比準方式)が適用されるため、評価額が高くなりがちです。これにより、相続税の負担が大きくなる可能性があります。
◆納税資金の確保
農地は現金化が難しい資産であるため、高額な相続税に対する納税資金の確保が課題となります。
◆農地の維持か転用かの選択
相続人が農業を継続するか、または宅地に転用して売却するかの判断を迫られます。この選択は将来の土地利用や相続税の納付方法に大きな影響を与えます。
これらの問題点を踏まえ、市街化区域農地の相続に際しては、専門家のアドバイスを受けながら慎重に対策を検討することが重要です。
【市街化区域農地の相続】農地相続における相続税の取り扱い
市街化区域などの農地を相続した場合、宅地と同じように相続税がかかります。農地を相続した場合の相続税については、いくつかの重要なポイントがあります。
農地の評価方法
農地の相続税評価額は、一般的に宅地よりも低く設定されます。しかし、広大な面積を有する農地の場合、総額では高額になる可能性があります。特に市街化区域農地は、宅地並みの評価を受けることがあるため注意が必要です。
相続税の課税対象
遺産総額が基礎控除額を超える場合に相続税が課税されます。基礎控除額は以下の計算式で求められます。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人数)
例えば法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4,200万円となります。
農地の相続税の計算手順
1.遺産総額の把握
農地を含むすべての相続財産の価値を合計します。
2.課税遺産総額の算出
遺産総額から基礎控除額を差し引きます。
3.法定相続分に基づく税額計算
基礎控除を差し引いた法定相続分を法定相続人の数で割り、金額に応じた税率を適用します。
4.実際の相続分に基づく配分
算出された相続税総額を、実際の相続割合に応じて各相続人に配分します。
農地の納税猶予の特例
相続税の支払いのために農地を売却すると、その結果として農地が減少してしまいます。このような状況を回避するために、相続税には納税猶予の特例が設けられており、一定の要件を満たせば農地にかかる相続税の納税が猶予されます。
被相続人が農業を営んでいた、または特定貸付を行っていた農地で、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
相続税の申告期限までに遺産分割が完了している農地
贈与税の納税猶予の特例が適用されていた農地
相続が発生した年に被相続人から生前一括で贈与されていた農地
適用要件は被相続人と相続人それぞれに設定されています。
◆被相続人の要件
死亡日まで農業を営んでいた方
生前一括贈与(贈与税の納税猶予)を行っていた方
死亡日まで特定貸付け、認定都市農地貸付け、または農園用地貸付けを行っていた方
死亡日まで営農困難時貸付けを行っていた方
◆相続人の要件
相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後も継続して農業経営を行う方
生前一括贈与を受けた受贈者で、一定の要件を満たす方
相続税の申告期限までに特定貸付け、または認定都市農地貸付け等を行った方
この特例を適切に活用することで、農業経営の継続を支援しつつ、相続税の負担を軽減することができます。具体的な農地の相続税対策については、専門家に相談することをおすすめします。
【市街化区域農地の相続】農地を相続しない場合の選択肢
市街化区域農地を相続したものの、農業を行う意思がないという方もいらっしゃるでしょう。農業を継続する意思がない場合、主に以下の3つの選択肢があります。それぞれの特徴と注意点を理解し、自身の状況に最適な方法を選択することが重要です。
売却する
農地を相続したが、農業を行う予定がない場合や貸し出しなどでの活用が困難な場合、売却という選択肢があります。
売却方法には以下の2パターンがあります。
◆農地のまま売却する
農地のまま売却する方法です。この場合、売却先は農家または農業生産法人に限定されます。
◆地目を変更して売却する
農地から宅地などに地目を変更して売却します。ただし、地目変更には原則として農業委員会への許可申請が必要で、地域によっては許可が下りない場合もあります。
転用する
相続した農地を別の目的で活用する方法です。駐車場経営や賃貸住宅の建設・運営など、都市的な用途での活用を検討できます。ただし、需要のある場所かどうかで経営状況が左右されるため、慎重な検討が必要です。また、農業以外の用途に転用するには、原則として農業委員会に許可申請が必要です。
相続放棄する
農地を含む相続財産全体について、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行うことで、全ての相続財産の相続を放棄できます。
相続放棄は全ての財産を放棄することを意味します。農地だけを選択的に放棄することはできません。預貯金や株式、自宅などの不動産も含めて全ての相続財産が放棄の対象となります。
これらの選択肢の中から、自身の状況や将来的な計画に合わせて最適な方法を選択することが重要です。市街化区域農地は特殊な取り扱いが必要な場合があるため、専門家への相談を検討することをおすすめします。
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